ハンガートーク 不安定な大気状態、積雲系の雲へは絶対に近づいてはいけない、危険の固まりが潜んでいる  NPO AOPA-JAPAN

 


2016/7/24 竜巻と気象の検証を追加

2011年1月3日熊本事故

2011年1月3日箱崎メモ

2017年3月5日長野県防災ヘリコプター事故

ハンガートークは、安全の担保

このページは様々な経験を持つ会員からの安全意見を掲載するページとしてこの度構築いたしました。
内容はあくまでも参考であり、読まれる自身による整理判断が大切です。

これらの内容が安全飛行の一助になれば幸いです。

ハンガートークHP製作責任者
技量維持担当
野村達夫

平成26年3月31日迄に特定操縦技能審査に合格していなければライセンスの効力が一旦停止します。

*1 審査員資格を持つ会員により審査を受けることが出来ます。
詳しくはこちらへ


*夏の飛行には、信頼度の高い雷ナウキャスト情報を多用しましょう。

強度レベル2〜4の域は、空中放電、落雷、激しい擾乱域、絶対近づかないこと。


*1 地上まで渦が繋がったのを竜巻と呼ぶようです。

今回竜巻情報として発表されているので、竜巻と書きました。


[ハンガートーク 2016-09]  台風飛行


  小型機による悪天飛行は、決して愉快なものではない。
エンジン停止、計器故障、機器故障、アビオニクス故障 どれをとっても悪天飛行中の発生は、命を縮めることになりかねない、最悪エンジン停止の場合を想定して、山岳地帯に設定された航空路の飛行は避けるべきだ。

ところが不思議と何か一つ調子の悪い時に限って、悪天飛行の最中2重の故障を生じる事がある。

  かつての搭載計器の多くはバキュームで作動していた、このバキュームポンプが悪天飛行中に壊れると、冷や汗ものである、そのような天候の中を飛行せざるを得ない場合、バキュームポンプがデュアル装備の機体で飛行することを肝に銘じた記憶がある、但し現在は半導体素子を使用した信頼性の高い機器、安全安心の担保に是非新しいアビオニクスを正規に搭載する事を提案します。

  さて本日2016/9/18 奄美群島西方海上を台風16号マラカスが本土への接近コースを北上しています、最大風速地上観測によると65メートル、最大級の強風、追い風に入ったら優に130kt以上もGSは上がり絶好の経済飛行が出来ます、但し結果がどうなるかは、技量と機体の性能によることでしょう。  確実に無事目的地へ着かなければなりません。

  1998年 10月AOPA-J会員機6機によるオーストラリアシドニー往復フライトを行いました。
目的はオーストラリアシドニーに於いて開催されるAOPA世界大会参加に合わせて渡洋フライトをしました。
フライトリーダー滝田副会長を先頭に6機総勢30名近くが参加、那覇と石垣からそれぞれ出国、セブで合流、インドネシアメナド、アンボン、オーストラリアPORT DARWIN へと飛行、その後北部から南下、シドニーまで真南の都市アデレード経由で飛行した。 オーストラリア国内を除き、日本までの帰路はPORT DARWIN オーストラリアからマニラまで同様のルートを飛行した。

  ちょうど帰路インドネシアからフィリピンマニラへ飛行中、フィリピン北部へ迫る台風と遭遇した。
マニラ国際空港では台風の余波を受け始めていた。  マニラへ到着前から日本までの天候を調べ、マニラで止まると、後3日は出発できないだろうと、給油して直ぐに離陸すれば台風の下降半円の半径/2ほどのところを飛行できるだろうと判断し、給油を最速40分で終え石垣へ向け離陸した。  風は少し強くなり始め、緩い横殴りの風雨の中、初めての経験、台風の中を飛ぶことに多少の緊張感を持ち、最後の寄港地マニラ国際空港を離陸した。
機体には4名搭乗 ルートはマニラ・サンフェルナンド・マルコス大統領の地元ラオアグ・そして石垣へ、高度はFL250を要求 当機の上昇限度は30000ft、上昇限度迄の余剰5000ftは何かの時使うマージンである。 滑走路閉鎖の前に離陸でき安堵する間もなく直後台風の雲の中へ、25000ftまで一気に上昇した。

参加機を紹介しよう
パイパーナバホ、チーフテン、マリブ2機、セスナ303クルーセーダー、そして当機はC425コンクエストである
巡航280kt、速度が小型機としては速いため閉鎖前の石垣空港へ到着できるぎりぎりの出発時刻と合わせてぎりぎり台風閉鎖前であった、他機はマニラ泊まりとなった。

  台風の中を飛ぶのはもちろん初めて、今まで手にした飛行関係本には、悪天候を飛行するテクニックがしっかりと書かれた本を見たことが無かった、と言うより書かれている内容と実際とに、大小違いのあることも時にはあり。  いずれにしても台風の中を飛行するしっかりとした認識を持つことなく、最後の離陸をした。  「どうなるだろう」と言う思いを持ち離陸したことを今もはっきり覚えている。

以下は後日に続く

 



[ハンガートーク 2016]  竜巻と気象の検証  

飛行中竜巻に巻き込まれないために、FSCとコンタクトして飛行しよう、それが竜巻を含め天候急変を知る有効な手段の一つである。


2016年7月21日午後7時頃 沖縄那覇空港周辺に竜巻*1が発生した。

午後7時20分気象台から竜巻注意情報が発せられた。
正確な発生位置は含まれていない。 METARには大凡の位置が記載されていたと思います。

アメリカ大陸で発生する竜巻には、雷光を伴う事をTVで見たことがあり、当該時刻における雷ナウキャスト、レーダー降雨、雲頂状態の検証をしたので、参考にして頂きたい。

              2016/7/21 19:00 雷ナウキャスト  当該時刻本島周辺には雷現象の検出はない 

尚1830-1850の間那覇の東海上10-30milに雷現象が観測されていた。


                2016/7/21 19:10 レーダー降雨(全国合成レーダー)

     那覇の東海上 久高島東に僅かな赤色の強雨域が確認できる


                  2016/7/21 19:10 雲頂高度

     久高島数マイル東海上の狭小エリアにトップ6000ft-12000ftの雲が観測できる


  今回の竜巻規模では、上図情報からはっきりとした発生の判断が出来る検出は出来ていないと考えます。
目視による発見以外の有効な手段は、今のところないのでしょうか。


対馬東方海上竜巻

2015年8月31日から9月1日、対馬東方海上で発生した夜間の竜巻により漁船6隻が相次いで転覆遭難したときの、気象状況を以下に掲載したので、一読頂きたい。

     災害発生場所 十字の位置と言われている  * 右下沖島は検証地図上右下の小島です。

      

     2015/9/1 天気図 (気象庁資料)



     正確な事故発生時刻は見つけられなかったため、資料は何れも 2015/9/1 0400 を選んだ。

     4時時点の観測が、数時間前後の中で最も多くの発雷を検出している、その他の時刻の検出はゼロか在っても僅かである。

     雷ナウキャスト

 


     レーダー降雨




     雲頂高度  グレー高度3000ft  ピンク高度 36000ft その他の色は中間高度色




この実例も、竜巻を決め手とする内容は掴めない様です。


     結 論

夜間の飛行、IFRによる雲中飛行など、目視確認できない状況下においては、発見できない事を心しなければならない。

竜巻は雲の中に発生しないと仮定出来るなら、発生地地域住民による発見の報により、発生数十分以内には上空でも無線で知ることが出来るだろう。

今回の沖縄の場合、AOPA-J沖縄地区会員、小野寺氏が誘導路W4で待機中の19:00に発見、直ぐにPIREPした後19:20に気象台から竜巻注意情報が発出されている、小野寺氏のPIREPが価値ある役目を果たしたと言えます。

施工規則報告に関する参考記載
航空法施行規則 第 百六十六条の2 異常事態の報告 二、気流の擾乱その他の異常な気象状態

飛行中可能な限り、管制・通信機関へコンタクトして飛行する事が、気象急変を知る手段として最も効果的である。
FSC、TWR、RADIO、TCA 等にコンタクトする事により、気象急変の報告を貰えることがあるので、飛行中は管制・通信機関と結び付けた飛行をすることを、心がけたいものである。

飛行中、悪天等飛行に影響する事態に遭遇した時、事態をFSCへ伝えると積極的優先的に支援をしてもらえます。
尚、普段自らの飛行状況、気象状況の報告をすることも、積極的に行いたいものである。
周辺を飛行している飛行機への有効な情報になる。

因みに、フライトプランに飛行中コンタクトを予定する管制・通信機関を記入すると、その機関は呼び出しに待機する。  様々な援助を受けるのに連絡無しに比べ短時間で意志の疎通ができるので、積極的に記入しましょう。  

以上


[ハンガートーク 2015]

着陸時タイヤバーストの発生要因をスラット考えてみたい。

タイヤとホイールにはスリップマークが描かれていることは、皆承知しているところです。

このスリップマークがホイールに対して角度にずれを生じた場合、運が良かったと思いたい。

ブレーキングアクションに問題があったのか、それとも着陸速度が速すぎたのか、この2つは大きな発生理由である。  そこにはタイヤ圧の関係も含んでいるが・・・ここでは正常値と考えることにする。

さらに他の理由か゛あるとしても、ずれた事により、このタイヤはバーストしないで済んだのだろう。

ではなぜブレーキングアクションとタッチダウン速度の速さがバーストの原因の大きな理由になるのか。

タッチダウン直後のブレーキ操作は、機体の揚力が無くなり、タイヤへ機体重量が掛かった後にブレーキをかけるべきである。

未だ揚力が残り、タイヤへ機体重量の全てが掛かっていないとき、つまりタイヤの接地圧が小さい状態で強いブレーキをかけると車輪は往々にしてロックしてしまい、バーストを生じる事がある。

ではどうして機体に揚力が残りタイヤ接地圧が小さくなる状況が接地後も続いてしまうのか、その大きな理由として、接地速度が早過ぎることが言える。

速度が早いためすぐに揚力低下とならず、当然タイヤ接地圧が高まらず、この状態では往々にしてブレーキング強弱に関わらず、車輪はロック、そしてバーストとなることがある。

 ― 対策 ―

1.接地時の速度が飛行規程値より 10kt 多いだけでも、ロック現象発生の可能性は高まる。
つまり、接地速度の厳守は重要事項なのである。 

2.接地後速やかに揚力を減衰させ、タイヤへ機体重量を載せてから、ブレーキをかける。

因みにこのような現象の発生は、C172の軽いクラスに於いてはタイヤと地面はスリップする程度で済むのであまり真剣に考えなくてもよいと考える。 

310馬力クラスの機体では、車輪ロック現象の発生によるバーストの発生は高い確率であると考えるべきである。

 ― 参考として、実際にパンクした場合次のような状況になる。 ―

@.パンクした瞬間からブレーキはほとんど効かない。
運よく両輪がパンクになれば、直進できるが、片側だけのバンクになった場合、ブレーキをかけずとも直進するのは相当大変、機体に従う、もしくは正常側のブレーキを強く効かしてみる、バースト側に勝てるか効果の程は機体によりまちまちである。

A.パンクした車輪にいくらブレーキをかけても、その効果はほとんど無いことを知っておくこと。
また短い滑走路では、オーバーランになることは避けられないことを承知する事。

 ― 以上 ―

 


 




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